Ozacuit®固定抵抗詳細情報

シミュレーション教育用呼吸回路Ozacuit固定抵抗(Fixed Resister)


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目次

Ø固定抵抗の開発の経緯

Ø対向流の発生

Ø対向流の対策

Ø吸気・呼気抵抗の作製

Øご購入の案内


固定抵抗の開発の経緯

現行のOzacuit Simpleをそのまま人工呼吸器とモデル肺の間に装着して使用すると、リーク警報が鳴ったり、Auto-triggeringが発生したりすることがあります。このためOzacuit Simple人工呼吸器と組み合わせて使用することが難しく、お使いの機種によっては使用できないことがございました。

1可変抵抗

その主な原因は、僅かな回路リーク(漏れ)が存在することでした。Ozacuit Simpleは、被験者が自発呼吸下で使用することを前提に作製され、可変抵抗部に僅かなリークが存在します。抵抗を形成するために内径約3.5mmの小さな円孔(図1左)があり、擦り合わせのvariable orifice(図1右)によって可変抵抗を(円孔面積を調整して)作り出しています。

 

  リークはこの擦り合わせ部分で発生し、抵抗を変えるダイヤル部分で大気に逃げます(図1中)。

ただし、自発呼吸で体感できるような大きなリークではなく、自発呼吸下の被験者はこのリークを認識できません。したがって、被験者がOzacuit Simpleを自発呼吸下で使用する場合には全く問題になりません。

一方、人工呼吸器とモデル肺の間にOzacuit Simpleを装着して人工呼吸器を稼働させると、僅かなリークが存在するために、リーク警報が鳴ったり、Auto-triggeringが発生したりします。このためにOzacuit Simpleによる変化を把握するためには、リークをある程度許容したり、トリガー感度を鈍くしたりする対応が求められました。しかし、自動感度設定が実施される一部の新機種では警報を解除できない事態が散見されました。このような事態に対応するためにリークが無い抵抗の作製が必至となりました。

つぎに、リーク以外の問題点として、Ozacuit Simple可変抵抗の対側には一方弁があり、吸気・呼気が一方向にしか流れない設計になっています。しかし、厳密には、可変抵抗部分を逆に通過する微量の対向流が存在します。ただし、可変抵抗部分には一定の抵抗があり、大部分の流量は抵抗と対側となる一方弁側を通過するために、自発呼吸下に使用する被験者はこの対向流の存在に全く気付きません(対向流の発生機序の詳細については、対向流の項参照してください「☞対向流」

そこで、これらの問題を解決するために、リークの無い固定抵抗と新しい回路形態を考案・作製しましたので紹介させて頂きます。今後は、固定抵抗を使用した人工呼吸の3波形変化(気道内圧・流量・換気量)を解説した動画を作成予定ですので、ご期待ください。尾﨑塾セミナーで公開予定ですので今しばらくお待ちください。

重ねて申し上げますが、被験者が自発呼吸下にOzacuit Simple使用する場合には、リークや対向流は無視でき、本来の役割を充分に果たせます。自発呼吸下でOzacuit Simple通常使用される場合には、リーク無しの固定抵抗を使用して頂く必要はございません。

対向流の発生

 

吸気抵抗を付加するために、固定抵抗Fixed resister)をセットし、緑の輪ゴム側から換気すると、一方弁があるために吸気は固定抵抗側のみを流れます。しかし、呼気は、一方弁側の回路内だけを通過するわけではなく、固定抵抗側の回路内にも呼気の一部が流れます(以下:対向流)。このために、呼気では完全な片側(一方弁側)の 導管抵抗だけを表現していないことになります(図2)。可変抵抗や内径3mmの固定抵抗では抵抗が大きいために、呼気の大部分は対側の回路(一方弁側)を流れ、対向流は多くなりません。しかし、内径が6mm8mmの固定抵抗では、対向流が多くなり、呼気抵抗に影響が発生している可能性が大きくなります。

同様に、呼気抵抗を付加するために、固定抵抗(Fixed resister)をセットし、緑の輪ゴムの反対側から換気すると、呼気は一方弁によって固定抵抗側の回路内のみを流れます。しかし、吸気は一方弁側の回路だけを通過するわけではなく、固定抵抗側の 回路内を逆に通過し、吸気の一部が流れます(対向流)。このために吸気では完全な片側(一方弁側)の導管抵抗だけを表現していないことになります(図3)。可変抵抗や内径3mmの固定抵抗では抵抗が大きいために、吸気の大部分は対側の回路(一方弁側)を流れ、対向流は多くなりません。しかし、内径が6mm8mmの固定抵抗では、対向流が多くなり、吸気抵抗に影響が発生している可能性が大きくなります。

つまり、抵抗として使用される円孔径が4mm以下の場合には、流量制限が大きくなるために流量の大部分は対側の一方弁側に流れ、対向流も少なくなります。しかし、円孔径が6mm 8mmでは断面積が大きく、抵抗も小さいために、大きな対向流が発生します。このためにコントロールとなる一方弁側回路の導管抵抗を正しく求められなくなります。

対向流への対策

対向流を無くすための方法を以下に示します。

 

まず、固定抵抗側の導管の対側に「一方弁」をもうひとつ接続配置します(図4,5)。これによって各導管内のガス流は一方向の流れになります。ただし、一方弁を1個だけ追加装着するだけでは、2本の導管の長さが異なるためにOzacuit自体が曲がってしまいます。そこで、2本の導管の長さを同じに調節するためにFree resister(内径20mmを装着して、 曲がりと捻じれを矯正します(図4,5)。

正確には、内径4mm以下の固定抵抗でも僅かに対向流が発生すると考えられますので、この対策を講じないと対向流の発生を完全に無くすことはできません。つまり、コントロールを必要とされる場合には正確な導管抵抗を求められないことになります。 

 

真に導管抵抗を求める場合には、固定抵抗を無くし、代わりにFree resisterを置きます。すなわち、導管の両側にFree resisterと一方弁を装着した状態がOzacuit単体の導管抵抗(コントロール)と言えます(図6)。

吸気・呼気抵抗の作製

Ozacuitでは、図4・図5Free resisterの代わりに任意の固定抵抗を組み込めば、「吸気と呼気で異なる抵抗」を作れ、楽しい実験が可能になります。なお、従来と同様に吸気・呼気の両方に同じ抵抗を設けたければ、単に固定抵抗を人工呼吸器とモデル肺の間に装着すればその換気パターンを再現でき、Ozacuitは不要です。